「ダビデはアキシュに言った。「私が何をしたというのですか。あなたに仕えた日から今日まで、しもべに何か過ちでも見出されたのですか。わが君、王様の敵と戦うために私が出陣できないとは。」」サムエル記 第一 29章8節

ダビデの困難は続きます。
ペリシテ人の領主アキシュの元に身を寄せているダビデたちですが、ペリシテ人がサウル王たちと戦いを始めようとします。
ダビデたちはアキシュに従って、その後に続きますが、ペリシテ人の他の領主たちに嫌われ疑われます。
アキシュはペリシテ人の王様と言うよりは一人の領主のようでした。今回の戦いはペリシテ人の領主の連合軍とサウル王の軍との戦いです。
他の領主は、ダビデが戦いの最中に裏切ることを心配するのです。

しかし、これまでアキシュの信頼を得てきたダビデは、ここで殺されることもなく、またアキシュが弁護してくれたことで、そのまま町へ帰ることになります。
イスラエル人とダビデが戦わないで済むのです。

この時、ダビデはここ8節で上手な言葉を使って弁明します。
アキシュに仕えてこれまで誠実に過ごしてきたことを訴えます。
そして一緒に戦えないことは非常に残念で苦しいのだとまで訴えて、アキシュに対する忠誠心を示すのです。
しかし、よく読むと「王様の敵」と言っています。
アキシュの敵とか、ペリシテ人の敵とは言わないのです。
また、敵であるサウルと戦うとも言わないのです。
上手な言葉で自分の心情を訴えることでサウルとの戦いを避けました。

上手に立ち回ったものだと言えるかも知れませんが、サウル王に追われる中で、敵対してきたようなアキシュの元で誠実に働くことで信頼を得てきたことが、戦いに参加しないで済んでのは確かです。
アキシュの心を動かしたのは、きっと背後に働かれる主です。
苦しい時も呟くよりも、その時にできる最善を尽くす人を、主は見捨てることなく、周りの人にも主は働いてくださって、その人を助けて恵を与えてくださるのだと信じます。

もちろん、真に誠実に仕えるのは主お一人です。

シャローム