「しかし あなたは拒んでお捨てになりました。 あなたは 激しく怒っておられます。 あなたに油注がれた者に向って。」詩篇 89篇38節
詩篇の第三巻の終わりとなる89篇です。
「ほむべきなか。 アーメン、アーメン。」と、どこまでも主をほめたたえて終わる89篇ですが、その内容は悲惨で苦しみに満ちています。
イスラエルは敵に打ち倒され、敵に嘲りの言葉を投げ掛けられて恥辱に満ちているのです。
それはもちろん、イスラエルが罪を重ねて悔い改めることがなかったからです。
それでも詩人は主の助け救いを待っています。
1節で「あなたの真実」と言い。
2節で「天に堅く立て」と言います。
そして3節で「わたしが選んだ者」とも、言います。
これは主の恵みの約束が、主からイスラエルに、一方的に与えられ、永遠に変わらない約束であることを示すことばです。
37節までは、主の約束が変わらないことと、主の力は絶対であることを、告白しています。
しかし今、主は、そのイスラエルを捨ててしまわれたのだと、告白して嘆くのです。
主ご自身がイスラエルに怒りを向け、敵の思うままにイスラエルを引き渡してしまったのだと、絶望とも言える嘆きを告白するのです。
それは詩人が、イスラエルの罪がどれほど深く大きいものであるのかを、誰よりも良く知っているということです。
そして詩人は、それでもなお、主にだけ助けを求めています。
「かつての恵みはどこにあるのでしょうか」と、49節で叫びます。
主が与えてくださった一方的な恵みで、今、もう一度イスラエルを赦して、恵みを回復して欲しいと願うのです。
そして、願いのことばではなく、主への賛美のことばをもって89篇を閉じるのです。
どんな状況でも、いつでも主をほめたたえます。
主への賛美を失わないことこそが一番大切だからです。
シャローム